2016年9月23日金曜日

宣伝です(笑)


宣伝です(笑)



私が書いたヘーゲル関係の文章を掲載していただいた本が出版されたので、宣伝です(もう、ちょっと前から右側の「自著紹介」にアマゾンへのリンクだけは貼ってありますが 笑)。

『ヘーゲル講義録入門』(法政大学出版局)「第七章 歴史哲学講義」(p.135-149を執筆しております。

ヘーゲルのテクストといえば、たとえば岩波書店の『ヘーゲル全集』が全20巻から成っているように、一般的にはそこそこのボリュームがあると思われているかもしれません。しかし実際は、ヘーゲル自身が書いたものは、あまり多くはないのです(そういう意味では、だれそれの「テクスト」という表現、便利ですね 笑)。さらに、ヘーゲルの生前に出版されたものは、たったの四作品(『精神現象学』、『大論理学』、『エンチクロペディー』、『法の哲学』)しかありませんでした。現在刊行されているヘーゲルのテクストの中で大部分を占めるのは、何といってもヘーゲルの「講義録」、つまり、ヘーゲルの授業を聴いた学生たちのとったノートを中心に、ヘーゲルが授業の準備のために書いた文章(講義草稿)なども加えてまとめられた、講義の記録であり、講義を再現したもの、です。

ただ、これまで刊行されてきた講義録には、大いに問題がありました。たとえば、ちょっと考えればわかるように、講義の聴き手である学生の関心によって、講義がどのように聴かれたか、また、講義のどの部分が重点的に記録されたか、といった点に、いわばバラつきがあるわけです。また、ヘーゲルは同じテーマを何年かにわたって講義していたのですが、ヘーゲルはどのテーマも探究することを止めなかった人だったので、たとえばある年の講義の内容と、その前年あるいは翌年に行われた同一テーマの講義とでは、その内容に大きな違いがあった、ということもあり得るわけです(いやぁ~、真面目ですね!この点、学生に何年も、ヘタをするとウン十年も、一切改定のない教科書を買わせて、授業中に延々と読み上げることで講義とし、しかもテストにはその教科書のみが持ち込み可とする、つまり単位を金で売っている某国の大学教授様たちとは、大違い……いえいえ、なんでもありませんなんでもありません^^;)。ところが、現在刊行されている講義録の多くが、ヘーゲルの死後、たとえば、講義の記録にしてもそれがどの年のどの学期に行われた講義の記録なのかといったことが、また、ヘーゲルの講義草稿にしてもそれがいつ頃書かれたものなのかといったことが、配慮されずにごちゃまぜにされて編集されてしまった、ということもあるのです。つまり、講義録を読んでもヘーゲルの考えていたことが必ずしも正しく伝わらない、あるいは理解できない、という危険があったのでした。

ところが最近、本場ドイツで、新たに発見された講義のノートや講義草稿を手がかりとして、新しい講義録が刊行されました。その新しい講義録を手がかりとしてヘーゲル哲学について分かりやすく論じたものが、本書『ヘーゲル講義録入門』なのであります。


さて、私の執筆した箇所についてですが……まぁ、ご関心のある方は本書を手にとっていただくとして(笑)、ほんのちょっとだけお話を。

まず、ヘーゲルの歴史哲学といえば、一般的にあまり評判が良いとは言えないようですね。ヘーゲルの歴史観については、ヨーロッパを頂点とした楽観的な進歩史観だとか、いわゆる「大きな物語」の典型である、といった評価が一般的にはほぼ定着しているようであります。ところが、私が本書で論じた歴史哲学(世界史の哲学)講義の新しい版を読むと、ヘーゲルが決してそういった単純な発想をしていたわけではなく、むしろ、ヨーロッパの先行きが困難であることをしっかりと意識しており、また、危機意識さえ抱いていたことがわかります。それから、歴史における「海」の意義についての文章を読むと、ヘーゲルって、現代的な意味で「男のロマン」が溢れる人物だったのではないかという気がしてきます(笑)。

それからそれから、今回は「入門」ということで、ヘーゲル哲学を論じる際にはどうしても避けて通ることの出来ないヘーゲル哲学に固有の概念・考え方について、出来るだけ理解しやすいように噛み砕いて書くことを心がけました。結果は……う~ん、ちょっと、噛み砕き足りなかったかもしれません。それでも、他の執筆者の方々の、アカデミックな雰囲気溢れる力作の中、私書いた箇所は、もしかしたら「浮いてる」かもしれません^^;

でもでも……売れるといいなぁ~(笑)

そうそう、今回、アマゾンに初めて、私の略歴が載りました。よろしかったら、そちらだけでもご覧ください(アマゾンの商品ページの「商品の説明をすべて表示する」をクリックしてください)。

『ヘーゲル講義録入門』(法政大学出版局、2016年)

http://amzn.to/2cRqqom
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